こんにちは、ぽっちゃり保健師です。
ダイエットをしていると、「○○するだけで痩せる!」という情報を目にすることがありますよね。その中でもよく話題になるのが「深呼吸ダイエット」。
「呼吸を変えるだけで脂肪が燃えるなんて本当?」と思った方も多いのではないでしょうか。
今回は、深呼吸とダイエットの関係を科学的根拠とともに整理し、「痩せる」というのは嘘なのか本当なのかを解説します。
深呼吸で本当にカロリーは消費できるのか?
人が生きているだけで使っているエネルギーを「基礎代謝」と呼びます。呼吸もその一部で、肺を動かし、酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出す過程でわずかなエネルギーを使っています。
ただし、その消費量はごくわずか。例えば、安静時の呼吸で消費されるエネルギーは1分あたり数kcal以下とされています。深呼吸をしてもせいぜい心拍や呼吸筋の動きが一時的に増える程度で、大きくカロリー消費が上がるわけではありません。
つまり、**「深呼吸だけで痩せるほどのカロリー消費は起こらない」**というのが科学的事実です。
なぜ「深呼吸で痩せる」と言われるのか?
それでも深呼吸ダイエットが話題になるのは、いくつかの理由があります。
1. 呼吸筋の動きによる軽い運動効果
深呼吸を繰り返すと横隔膜や肋間筋が大きく動きます。これらは筋肉なので使えばエネルギーは消費されますが、その量はウォーキングや筋トレと比べると微々たるものです。
2. 酸素摂取量が増える
「酸素を多く取り込めば脂肪が燃える」という説明がされることがあります。
確かに、脂肪を燃やすには酸素が必要です。しかし、体は安静時でも十分な酸素を取り込んでおり、深呼吸したからといって脂肪燃焼量が飛躍的に増えるわけではありません。
3. ストレス軽減による間接的な効果
ここが一番重要です。深呼吸には副交感神経を優位にしてリラックスさせる作用があります。ストレスが減ると、ドカ食いや甘いものへの欲求が和らぐ可能性があります。
また、睡眠の質が改善されればホルモンバランスが整い、太りにくくなるという間接的な効果は期待できます。
科学的研究は何を示している?
実際の研究をいくつか紹介します。
- 呼吸法と代謝の関係
ある研究では、呼吸法を変えても安静時のエネルギー消費量に大きな変化はないと報告されています(American Journal of Physiology, 2017)。 - ストレスと肥満の関連
ストレスホルモン「コルチゾール」が高い状態では脂肪蓄積が進みやすいことが分かっています(Obesity Reviews, 2011)。深呼吸はコルチゾールを下げる働きがあるため、間接的に体重管理に役立つ可能性はあります。
つまり、科学的には「深呼吸そのものに直接的な脂肪燃焼効果はない」が、「ストレスコントロールを通じてダイエットを助ける可能性はある」という結論になります。
深呼吸をダイエットに活かすならどうする?
深呼吸だけでは痩せませんが、ダイエット生活にうまく取り入れることで役立つことはあります。
- 食べすぎ防止に活用
食欲が強く出たとき、まず深呼吸を数回する。これで衝動的な間食を抑えられることがあります。 - ストレスケアに活用
仕事の合間や寝る前に深呼吸を行うと、副交感神経が優位になり、心が落ち着きます。これが結果的に過食や不眠を防ぐことにつながります。 - 運動との組み合わせ
ヨガや瞑想と一緒に行うと、呼吸が体の動きとリンクし、リラックス効果が高まります。これにより運動の習慣化がしやすくなります。
まとめ
「深呼吸だけで痩せる」というのは、科学的には嘘に近いです。深呼吸そのものによるカロリー消費はごくわずかで、脂肪を直接燃やす力はありません。
しかし、深呼吸には「ストレスを軽減する」「過食を防ぐ」「睡眠の質を高める」といった間接的な効果があります。結果として、ダイエットを成功させる環境づくりに役立つのは間違いありません。
結論としては、
- 深呼吸だけでは痩せない
- でもダイエットを支える“名脇役”にはなり得る
無理な期待はせず、生活の中にリラックス習慣として取り入れるのがおすすめです。